高岡早紀とパールとジャズと

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jazz真珠の似合う女性たち

 

高岡早紀がジャズを歌っている。

モンスターという百田尚樹の小説が映画化され、そのエンディング曲を主演の高岡早紀が歌ったのだが、

いつものことながら、この記事の主とする内容はその歌や映画についての感想ではない。

(最後にちょっとは触れています)


SINGS -Bedtime Stories- ~Selection~

 

そう。

ここは「宝石と女と人生」であるからして、

注目したのは、CDジャケットの、黒いドレスに映える白のパールネックレスとブレスレットなのである。

 

 

あぁ、美しい。

この人の色香は、顔だけに漂うのではない。

もちろん、その声も時に甘くかすれ、聞いているだけで早紀、否、酒に酔ってしまうかのようだが、

彼女の場合、白い肌と細い肩と首筋、そして手首、全身で芳香を放っているのである。

その、なんともうらやましい真白な色気を、増幅せんとばかりに主張するパールのチョーカーにネックレスにブレスレット。

ヘッドピースには、ビリーホリディのトレードマークにも似た白いくちなしの花。

そして、

その、きっとオマージュされたであろう

ビリー・ホリディも


Lady Day: the Complete Billie Holiday on Columbia 1933-1944 CD, Import

キャロル・シンプソンも


SINGIN’ AND SWINGIN’ Original recording remastered, Import

ペギー・リーも

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パール

 

パールは、肌を露出することによる女の色気を、くちなしの花のような独特な甘い色香を

決して下品なものにはしないのである。

真珠は品格の宝石だから。
真珠の本質は母性なのである。

くちなしの花もそう。

くちなしの花は桜のように決して潔く散ることはない。

花は干からび、茶色くなっても枝にしがみついたまま。

それは、花の栄養分を散りゆく最後の時まで茎へと送り返し、次の花へと命の循環をさせるため。

母性なのである。

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さて、

高岡早紀が、歌の世界に戻るきっかけとなった作品。

「モンスター・百田尚樹」感想

「バケモン」といわれるほどの醜い顔で生まれつき、幼き頃より男たちに侮蔑され、女たちに嘲笑され、地獄の日々を過ごしながら、故郷を追われることとなった少女。

東京の日陰を住処とし、風俗、美容整形の門をくぐり、絶世の美女となって、忌まわしき思い出の街へと舞い戻る。

底辺から頂点へと君臨し、欲してやまなかった称賛や羨望という名の勝利を手中に収めた真のモンスター。
そしておそらく、美しさで、その眼差し一つで男を堕としてきた女なら、ニヤリと思い出し、笑ってしまうであろう手練手管の数々。

欲望を前にした、さもしく、あさましい男が、無様にやられる滑稽な様。
読み終えた後は、痛快以上に虚しさが残るような話であるが、ただ一つの救いもなかったわけではない。

醜い幼虫が美しい蝶へと変化する様を見てきたやくざな男。

この男の一言に、純朴な、真心というただ一つの救いが集約されている。

とはいえ、自分の中身を、心を愛してほしいと願った主人公でさえ、結局最後に選んだのは男の外見である。

否、選んだのは「男」ではなく、執念であったか。

 

どちらでもいいが、このどうしようもない人間の醜く残酷な本質を魅せられた後には、

一人ベッドに横たわり菩薩の化身ともいえる母性に癒されたくなるものだ。

 

SAKI TAKAOKA「SINGS-Bedtime Stories-]

ジャズのテイストを取り入れたラヴソング集。

戦後の和製ジャズが高岡早紀の甘くハスキーな声で蘇る。

私は音楽評論家ではないから、歌に関しての上手いの下手のはよくわからない。

が、

 

高岡早紀とパールとジャズと。

色気を纏った母性に抱かれて、今宵は眠りたい気分である。

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