恒興(向井理)が殊の他ジュエラーだった。
戦国時代。
この時代の日本に指輪を贈る習慣などない。
もちろんドラマの中でもそう描かれている。
「結婚は好きな人とするもの」
「指輪とは鉄のわっかのようなもので、好きな人に渡して永遠の愛を誓うもの」
未来からきた信長(サブロー)によって語られる「指輪」という未知なるものに、思いをめぐらすお市と家臣。
そう、この時代、女性に贈られる装身具といえば、櫛やかんざし、笄が主である。
指輪など知るはずもない。
劇中、恒興が密かに慕うお市に贈ろうとしていたのも櫛だった。
たまに、他の時代劇でキリシタン大名たちが十字架のネックレスを下げているのを見るが、あれは洗礼を受けているから、ネックレスではなく、祈りの道具ロザリオだ。
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どの時代劇をみても、ネックレスや指輪、イヤリングのような装身具をつけている女性など登場しない。
それは日本のジュエリーの歴史が、世界でも稀な経緯を辿っているからである。
縄文、弥生、古墳時代までは、 日本にも他の国と同じように耳飾や腕輪や櫛のような装身具があった。
が、以後日本は明治の初め、洋装に変わるまでの1000年以上もの間、ジュエリー不在という世にも不思議な歴史を作った。
1000年以上も必要とされなかったのである。
だから、戦国時代にはもちろん婚約指輪など存在していない。
信長協奏曲はその歴史を逆手に取り、帰蝶とお市の2大ヒロインに、当時存在しなかった指輪を贈り、当時有り得なかった感動を生んでいた。
ドラマ5話のタイトルは「指輪に託す想い・・・戦国の定めと叶わぬ愛」
業界顔負けの女心をくすぐるキャッチコピーである。
帰蝶にはシンプルな金の甲丸リングにセットされたアコヤ真珠。
お市には信長が語った「鉄のような輪っか」そのものの甲丸リング。
※画像はドラマのものとは違います。
いずれもこの2つの指輪は、恒興によって間接的に渡されている。
真珠の指輪には信長の願い、銀の甲丸リングには恒興の祈り。
それぞれの指輪に託された想い。
「殿は申しておりました。
その指輪があれば、二人はずっと一緒だと。これはその証なのだと。
たとえ戦で城を離れるときも、傍にいられなくとも、その指輪を見て思い出して欲しいと。
ですから殿はいつも帰蝶様の傍にいます」
素晴らしい。
指輪に込められた意味を語り聞かせる恒興は、まさにジュエラー。
更にお市の輿入れの際も、ジュエラーぶりを発揮している。
織田のため、女の戦として浅井へ嫁ぐお市。
祝言前夜、恒興は市の夫となる長政に書簡と指輪を届けている。
「織田の慣わしと聞いた」
長政の傍らにある書状と渡された指輪を見て、市は恒興の優しき計らいを知る。
「よき夫婦になろう」
長政の言葉を聞きながら、その薬指の誓いの指輪に
恒興の愛を見て、長政との未来を描いたはずだ。
帰蝶の真珠とお市の指輪。
指輪も想いも形は違えど、どちらも愛の証である。
そして映画・信長協奏曲は帰蝶の言葉で幕を閉じた。
「たとえ時代が離れても、この指輪があればわらわとおぬしは繫がっておる」
指輪とは、離れても心を繫げる愛の絆なのだ。
ちなみに柴咲コウは今年の第28回国際宝飾展のレセプションパーティーで、日本ベストドレッサー賞30代部門で表彰されている。
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