自然の地殻運動により、人の前に姿を現す超絶に硬いダイヤモンドは
いわば「あの世」というくらい遠い地から、人智の及ばぬ力によって贈られた宝物だ。
それはダイヤモンドと同じ炭素でできている鉛筆の芯(グラファイト)が教えてくれる。
地上で最も硬く無色透明なダイヤモンドと柔らかく真っ黒で不透明なグラファイト。
同じ炭素でありながら、何故こうも違うのか。
それは結晶構造と炭素原子の結合の形が違うからなのだ。
グラファイトはダイヤモンドが姿を変化させたものである。
地下深く、高温高圧の中で生まれるダイヤモンドにとって、地表に向かう、低温と低圧な環境ではその身を保てない。
マグマが火山の爆発とともに、急上昇して地表近くまで運んだのがダイヤモンド。
マグマがゆっくり上昇すると、ダイヤモンドはグラファイトに変化してしまう。
黒くで柔らかい炭素は高温高圧な地下マントル層で存在できない。
逆にダイヤモンドはそこでは採り放題というわけである。
が、残念なことに人にはそんな地底の奥深くまで行く術がない。
ダイヤモンドとグラファイト。
その性質が対極にあるのは
住む世界が「あの世」と「この世」くらい違うからなのだ。
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