今や、葬式といえば、あこや真珠一択の時代だが、
その影で、今も秘かに息づいているモーニングジュエリーの一つが黒い宝石ジェットである。
ブラックフォーマル 天然ジェット ネックレス ジェットネックレス ネックレスの長さが11種類から選べる撫順産天然ジェット服喪・ハードジェット台湾で作製
ジェットの歴史
紀元前1400年頃から採掘されていたジェット。
初めて採掘されたのは、イングランド・ヨークシャ州、ホイットビーである。
この産地のものが、19世紀に喪服用として大流行した。
これは英国王室がモーニング・ジュエリーとして使ったからだ。
ヴィクトリア女王 世紀の愛 (字幕版)
アルバート公亡き後、
25年も喪に服したヴィクトリア女王の胸元に飾られたジェットは、当時の女性たちを魅了した。
それもそのはず、ジェットの魅力は漆黒の艶である。
これほど女性の肌を艶かしく美しく見せる色はない。
エメラルドやツァボライトのグリーンが女性の肌を瑞々しく見せるのとは違い、
漆黒の宝石は、白い肌とのコントラストにより、女性の柔肌を一層美しく際立たせる。
おっさん目線のような表現で申し訳ないが、黒いジュエリーほど女の色香を醸し出す宝石はないのだ。
天然ジェット「薔薇(ばら)」ブローチ
大英帝国の栄華を創り上げ、金の細工の美しい華やかなジュエリーを普段から身につけ、
赤いガーネットをこよなく愛した、お洒落番長ヴィクトリア。
王侯貴族のご婦人たちが、番長の魅せる妖艶な宝石に魅入られないわけがない。
まるで東洋人の黒髪に神秘性を感じるがごとく、黒い魅力に引き込まれたはずだ。
これも下衆の勘繰りに過ぎないが、
恐らくヴィクトリア女王も黒の虜になっていたのではなかろうか。
ブルーサファイヤやパール、ペリドットやトルコ石などの色鮮やかな宝石を経て、最後に知った黒の美しさ。
喪の黒が、後に、モードなモダンガールを生みだすことを、女王は既に気づいていたかもしれない。
【天然ジェット 3点セット】ネックレス・イヤリング・カメオブローチ
ジェットはモーニング・ジュエリーという地位を確立していて、日本の皇室でも正式に使われるジュエリーだ。
とはいえ、葬式はアコヤ真珠の独断場である。
だって喪服にはやはり、アコヤの醸し出す干渉色が最上だ。
値段はジェットのほうが安価だが、今ではアコヤ真珠も昔では考えられない値段で買える。
葬式=アコヤ真珠になるのも当然だろう。
となれば、ジェットはモーニングより、日常にその活躍の場を移す。
黒曜石ほどの光沢や南洋黒真珠の幻想的な輝きはないが、
現代でもジェットはファッションジュエリーとして、パリ・コレやファッション誌にも登場しているのだ。
ジェット ミラーカットネックレス フォーマルジュエリー (薔薇玉入り)
ジェットは研磨しやすいため、ファセットによって生命が吹き込まれ、研磨によって艶が増す。
若い女性だけでなく、年配の女性がつけても、かっこいい。
モダンな印象になる。
しかも軽い。
普段の装いに、粋な大人の魅力をプラスする黒のジェット。
素肌の上で、かっこよく装っていただきたい。
ブローチも素敵だ。
パールネックレスとの組み合わせはもちろんのこと、柄物のスカーフを留めたりしても粋である。
ジェット基礎知識
ジェット JET
硬度:2.5
産地:イングランド・ヨークシャ州ホイットビー、
スペイン、フランス、ドイツ、ポーランド、インド、トルコ、中国、アメリカ
有機質起源の非晶質宝石。
色は黒~褐色。
それは驚くほど軽い。
何故ならジェットは木の化石なのだ。
1億8000年前のジェラ紀。
ジェラ紀とは恐竜が闊歩する時代だ。
そんな超絶に昔の時代、生息していた松柏科の樹木。
滞留水中に沈んだこれらの木が、上からの埋没物の圧力により圧縮され、化石化したのだ。
いわば、石炭のようなものである。
ジェットも燃やせば石炭独特の匂いがする。
摩擦によって帯電するという琥珀と同じ性質をもつため、黒こはくとも呼ばれ、不透明で質素な外観から、伝統的に修道士のロザリオに用いられてきた。
ジェット効果と宝石言葉
「忘却」
日本には日にち薬という言葉がある。
傷ついた心も悲しみも日が経つにつれ、和らいでいくという意味だ。
人生という時は、人の気持ちなど御構い無しで、常に流れていく。
忘却は、人が前へ進むために与えられた一つの知性だ。
過去に捉われていては、人生は停滞したままである。
辛く悲しい出来事も、後悔も罪悪感も、すべて忘れ去ることは、無常な人生に立ち向かう術である。
ジェットは忘却というやり方で、あなたを癒し、あなたの心を過去から今に向け、未来へと導く。
すべての負の心をジェットに任せれば、あなたは今あるものの中に幸せを見つけるようになるだろう。
その積み重ねが、幸福へと繫がるのだ。
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