血塗られたダイヤモンド

ダイヤモンドは罪なのか:映画「BLOOD DIAMOND」

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血のダイヤモンド

 

紛争ダイヤモンドの真実が分かりやすく語られており、

秘密裏に密輸を黙認していたダイヤモンド産業への痛烈な批判と

無知なる先進国のダイヤモンド消費者へ問題を提起した作品である。

 


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前編を先に読まれることをオススメします。

 

ダイヤモンドの真実

 

市場の15%にすぎない紛争地域の密輸ダイヤが作り出す、何億もの金と武器。

ほとんどの罪なきシエラレオネ人たちが、先進国の女性の指輪のために、手を切り落とされていたという事実。

そして、ダイヤモンドの探査、採掘から分類、研磨、販売までの全てを独占し、ダイヤの希少性を人為的につくり上げたデビアスの欲。
 

 

「命が犠牲になると知れば、指輪を買う人はいない」

ジャーナリストのマギーは、バン・デ・カープ(ダイヤモンド業界の中核)の裏取引を暴くことにより、ダイヤモンド不買運動を引き起こし、問題の芽を摘み、負の連鎖を断ち切ろうと奮起する。

結局ラストは、紛争ダイヤモンドの売買を阻止する「キンバリープロセス」の制定により、マギーの悲願は叶い、ハッピーエンドで幕を閉じるのだが。

監督は、キンバリープロセスについてこう述べている。

「独立した第三者機関の監視がない」

「ダイヤを買う消費者の意識が変わらない限り実効あるプロセスにはならない」

これは

「紛争ダイヤをゼロにすることは現実には難しい」

「ダイヤを買うべきではない」

もしくは

「買うのなら紛争ダイヤでないものを買え」

というダイヤモンド不買への誘導ではなかろうか。

だが、消費者が紛争ダイヤを買わないよう購入の際に意識する(産地の確認)というのは、未だ難しいことだ。

店頭に並ぶダイヤの産地など、ほぼ分からないのが実情である。

 

 

「ダイヤを買うことは愚かである」

ダイヤモンド不買を推奨する監督はそう思っている。

そして知っているのだ。

紛争ダイヤモンド以外の真実。

ダイヤの希少性の半分が人為的に作られた虚像であることを、だ。

1年で数億ドル、毎日32万8000カラットも産出される希少でないダイヤモンドは、デビアスの年に2億ドルもの広告により、給料の3か月分もの価値ある愛の宝石となり、世界的に最も人気のある宝石となった。

劇中、ダイヤ密輸業者アーチャー(ディカプリオ)がマギーと取引をするシーンでも、ダイヤモンドの価格を人工的につり上げているバン・デ・カープについて語っている。

ちなみに映画とは関係ないが、宝石通で知られる日本の作家、宮沢賢治も、詩篇の中で、デビアスを皮肉っている。

「北いっぱいの星ぞらに」

じつにそらはひとつの宝石類の大集成で

ことに今夜は古いユダヤの宝石商が

とれないふりしてかくして置いた金剛石を

みんないちどにあの水底にぶちまけたのだ

 

私は紛争ダイヤの真実を知った当初、ダイヤモンドを見たくなくなった。

今まで散々にその魅力を伝えてきたこの仕事でさえ、強大なダイヤモンド産業の悪事に加担していたのだと思った。

ダイヤに魅せられる、事実をしらない女性たちを見てやるせない気持ちになった。

そして聞いてみた。

ダイヤのどこが好きですか?

「キラキラしてキレイだから」みんな笑顔でそう言うのだ。

女性は、美しいものが好きな生き物である。

そしてダイヤモンドの煌めきは、ダイヤモンドだからこそ生み出される。

その輝きを生む特性は、宝石の王にふさわしく、多くの女性に夢を与えているのだ。

宝石は神が人々に与えた癒しと守りの宝物である。

 

宝石の持つ有益で偉大な力。

その本質を見えなくしたのは人間の欲と虚栄でしかない。

ダイヤモンド自体に罪はない。

罪は、欲にまみれ密輸ダイヤを黙認していたダイヤモンド産業であり、

本当の問題は、ダイヤモンドが正当に取引できない国なのだ。

 


 
キンバリープロセス設立から14年が経つ。

この映画も10年ほど前の映画だ。

今現在、日本で販売されているダイヤに紛争ダイヤはないといわれ、キンバリープロセス認定マークの刻印されたダイヤも販売されている。

 
 

アフリカ貧民の希望とダイヤモンド

 


 

シエラレオーネ人のソロモンは反政府軍に捕まり、ダイヤモンド採掘労働者として苦役につかされる。

そして数億円の価値があるピンクダイヤを見つけてしまう。

劇中、アーチャー(ディカプリオ)は言う。

「彼らを(ソロモンとその家族)救えるのはあのダイヤだけだ」

実際、ソロモンはこのダイヤを売り、捕らわれた家族と200万ポンド(3億円)を手に入れる。

ソロモンにとってはダイヤモンドはくもの糸。

地獄から抜け出し家族を救えたのもダイヤモンドのおかげである。

これも現実なのだ。

1995年、2人のアフリカ人が発見した24カラットのピンクダイヤ。

480万ドルで売られたその石はニューヨークへ運ばれ1000万ドルで転売された。

その後研磨され、2000万ドルで売られたという。

希望の石。

アメリカインディアン種族の存亡を支えているのがトルコ石なら、アフリカ貧民と呼ばれる人たちにとってダイヤモンドは、生活の支えであり希望でもあるのだ。

 

 

現在、日本にもこういったダイヤモンド採掘労働者の労働環境改善や、社会的地位向上の支援を行う団体がある。

ダイヤモンド以外にも象牙や金も同じような目にあってきた。

アフガン紛争下のラピスラズリも同じだ。

愛すべき宝石達は、武器を買うための道具となった。

そして常に利権の対象とされてきた。

宝石とて紛争や欲の道具にされる被害者なのだ。

それを変えるのは、この映画のテーマである

「善悪は人の行動で決まる」という黒人教師の台詞にある。

 

 

ダイヤモンドに罪はない。

嫌いにならないでほしい。

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